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注目のバレエダンサー・井澤 駿さんに聞く~女性だからこそ持っている美しさ

2016.04.01

179センチの長身に端正なルックス、全身から滲み出るオーラと気品、凛とした眼差しや仕草の中に見える優しい表情......。
まさに、"バレエの世界の王子様"を絵に描いたような雰囲気の井澤駿さん。新国立劇場バレエ団のソリストとして活躍する若手ダンサーのひとりであり、次世代を担う新たなスターとして今大きな注目を集めています。

新国立劇場バレエ団ソリスト 井澤 駿

 

 

華麗なバレエダンサーたちの踊りやきらびやかな衣装など、バレエは美しい芸術です。幼少からバレエを踊り、今はプロとして舞台に立つ井澤さんが考える、バレエに求められる美しさとはどんなことでしょうか?

新国立劇場バレエ団ソリスト 井澤 駿

「バレエを踊る=美を追求していく」と言ってもよいのではないのかと思います。

技術的な面でみると、ボディのラインや踊りのテクニックをクラシックバレエという教科書に基づき極限までそれに近づけることです。
作品や役柄によって踊りや表現方法が変わりますが、「美しく見せること」はどれにも共通していると思います。

 

 

女性バレエダンサー、男性バレエダンサーそれぞれの「ならでは」の美しさは何でしょうか?

男女問わず言えることだと思いますが、特徴を挙げてみると、女性はボディのしなやかさ、顔の表情や指先・足先の繊細な表現、そしてトゥシューズ(ポワント)で踊る軽やかで優雅なフットワークがあります。 男性は作品にもよりますが、踊りの中にもつ男性らしい力強さ、そしてジャンプやステップなどにも女性にはない迫力があります。

 

 

バレエでは、男性ダンサーが女性ダンサーを美しく見せることが多いですが、井澤さんご自身が工夫していることは何ですか?

新国立劇場バレエ団ソリスト 井澤 駿
左『海賊』パ・ド・ドゥでは、力強くジャンプ。右『ドン・キホーテ』第三幕よりグラン・パ・ド・ドゥでは、女性ダンサーが美しく見えるようサポート(『海賊』撮影:鹿摩隆司、『ドン・キホーテ』撮影:瀬戸秀美)

女性ダンサーと2人で踊るパ・ド・ドゥでは、しっかり女性をサポートできるようその技術を高めることがあります。そして、2人で作品や場面を作り上げるため、技術的にも表現的にもパートナーと釣り合った踊りができるようにすること。そのためには、ソロや自分の踊りの技術を高めることも大切だと考えています。

 

 

すらりと長い手脚を生かした優雅な踊りでファンを魅了する井澤さん。バレエダンサーとして普段から気をつけていること、美に対するこだわりを教えてください。

「バレエ=美しく見せるもの」、そして劇場でお客さまに自分のバレエを見ていただくという意識が前提にあるので、やはり美に対する意識は他の方より高いかもしれません。

自分の中で特に気をつけているのは上半身。肩を下ろして首から肩、腕にかけてのラインを途切れないようにし、さらに指先まで神経を行き渡らせることで腕全体を長く見せるよう心がけています。

あと、もともと太りやすい体質なので、ダイエットは常に意識しています。本番が近い時は基本的に炭水化物抜き。野菜中心の食事を心がけます。 もちろん、ただ痩せるだけではダメ。リハーサルが続くと身体の負担が大きくなるので、タンパク質の豊富な食材を積極的に摂ってリカバリーしています。

 

 

井澤さんがきれいだなと思う女性のポイントとは? 好みの女性像をお聞かせください。

新国立劇場バレエ団ソリスト 井澤 駿

自分がバレエをやっているというのもあって、やはり姿勢に目がいってしまいます。背が高い方はどうしても猫背になりやすいので、気になることが多いですね。

女性で惹かれるのは笑顔。口角が上がっている人を見ると、キレイだなって感じます。クールな美しさもあるけれど、笑顔がステキな方、明るい方って魅力的だなと思う。好きな女性のタイプは、心身共に健康的な方。やっぱり一番はそこですね。

 

 

内面のうるおいもきれいにつながる大切な要素であり、豊かな表現のためには欠かせないもの。バレエダンサーとして輝くために行っている井澤さんのうるおい補給法、リラックス法は何ですか?

家でゆっくりしたり、いったんバレエから離れてリラックスできる場を作るようにしています。一日の終わりの楽しみは、近所のレンタルビデオ屋に寄ってDVDを観ること。あと大学時代の友達と話をするのも気分転換のひとつです。

 

 

2014年にソリストとして入団し、いきなり『シンデレラ』の主演の王子に抜擢されました。プレッシャーを感じることはなかったですか? 王子らしさをどう表現していったのでしょう。

新国立劇場バレエ団ソリスト 井澤 駿

初演の時は本当に大変でした。突然主役を踊ることになって、プレッシャーもあったし、どこかで引け目のようなものを感じていました。だから、王子を踊ってるはずなのに堂々としていない、全く"王子"ではないんです。気持ち的に弱い部分が踊りに出てしまったのかもしれません。それは今もまだ完全には払拭しきれてなくて、たまに失敗してしまうことも......。

だけど、お客さまには見抜かれているんですよね。以前、『ライモンダ』のジャン・ド・ブリエンヌという主役を踊った際、終演後にお客さまから"主役のあなたが引っ張って行かなきゃいけないんだから、自信を持ってやりなさい"と励ましの声をいただいて。不安そうに踊っているとやはり伝わってしまうんだ、自信を持たないといけないな、と改めて実感させられました。

 

 

井澤さんの新たな挑戦は、ファンに新鮮な感動とうるおいを与えてくれそうです。今後、挑戦してみたい役や作品はありますか? 

新国立劇場バレエ団ソリスト 井澤 駿

音楽も大好きだし、物語もいい。実は2016年‐2017年シーズンでロメオを踊ることになって、こんなに早くチャンスをいただけて本当にうれしいです。

『ジゼル』のアルベルトも大好きな役。ただ、ダンサーにとってはすごく大変な役でもあって、以前アルベルトを踊ったときは脚を疲労骨折したことがあるほど。なので、今の課題はケガをしないこと。技術的な部分はもちろん、体力をつける必要もあります。期待に応えられるよう身体作りをきちんと行い、常にマックスで踊れるようにしたいと思っています。

 

 

●プロフィール
群馬県出身。関田和代、菅居理枝子、田中洋子に師事。山本禮子バレエ団付属研究所、菅居理枝子バレエアカデミー、バレエスタジオDUOで学ぶ。受賞歴は、2012年全国舞踊コンクール・バレエ第一部第1位、ユースアメリカグランプリ・NYファイナル・ブロンズメダル、13年こうべ全国洋舞コンクール・バレエ男性シニアの部第1位。14年より新国立劇場バレエ団にソリストとして入団し、12月の『シンデレラ』で全幕主役デビューを果たした。また、15年『こうもり』『ホフマン物語』『くるみ割り人形』での主演も好評を博した。

http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/don_quixote/

Text:Etsuko Onodera
Photo:Kunio Kaneda