水中の女神シンクロナイズドスイミング日本代表チームのメンタル&体調管理術
芸術性や同調性が審査基準となるシンクロナイズドスイミング。厳しい練習の上に表現される美しい演技。テレビなどで観戦した読者も多いのではないでしょうか。今回は、デュエットとチームの2種目で活躍する乾友紀子選手と三井梨紗子選手に、体調管理やメンタルコントロール術についてお話を伺いました。

スポーツ選手は体調管理が大変そうですよね。

三井選手「人間なのでどうしても体調を崩すことはあるのですが、初期症状で気付けるよう、日頃から意識して自分の体と向き合うようにしています。練習を休むほど悪くする前に、できることが沢山あるんですよね。ちょっとでもおかしいと思ったら、加湿器をつけてマスクをして寝ています」。
乾選手「シンクロは練習時間が長くて、家に帰った時にはへとへとです。1日に12時間水に浸かっていることもざらにあります。シンクロのプールは水深2メートル以上あるので足がつかないんですよ。休憩中も立ち泳ぎをしているので、カロリー消費量が多いですね」。
体重管理はどうしているのですか?

乾選手「シンクロの選手でも太りやすい子もいますが、多くの選手はどうしても体重が落ちやすいので、食べてコントロールする必要があります。私の場合、練習の合間にスポーツゼリーでカロリー補給しつつ、1日に4500kcalを目安に摂取するようにしています。それでも練習が終わると体重が1.5kg落ちていることもあるんです。水に入っていても汗かいているので、水分補給をしないと体重が減ってしまいます」。
三井選手「体調が悪くても、食べ過ぎても、次の日には規定の体重に戻さなければいけません。昨日の夕飯は、生姜焼きにサラダにごはんに焼きそば。カロリーを摂るために量を食べています。練習がハードな時はいつも以上にたくさん食べて、お腹いっぱいでも寝る前にはチーズをのせたおもちを3個食べて、体重が減らないように調整してから寝ています」。
カロリーのほかに栄養で気にしていることはありますか?

三井選手「ほうれん草や豚肉、レバーなど、鉄分を補う食材も意識して食べるようにしています。お菓子も好きなんですが合宿中はあまり食べず、栄養バランスの良いご飯をしっかり食べてお腹を満たすようにしていますね」。
乾選手「たんぱく質と緑黄色野菜をしっかり摂るよう、日頃から心がけています。バランスの良い食事は体調を保ったり回復のために必要ですし、日本で摂った栄養が海外の試合の時に発揮されるんですよね」。
海外の試合の時など、食事で困ることはないですか?
乾選手「パン食中心の国に行く時には、お湯や水で戻せるアルファ化米を日数分持参しています。白ご飯が大好きなので、1日に1食は食べられるようにしているんです」。
試合前に不安になることはないのですか?

「もちろんなります(笑)。でも、日々のつらい練習を乗り越えてきた自信はあるんですよ。シンクロは練習通りのことを100%やることが大事な競技なので、本番前に円陣を組んだら、プレッシャーがいい緊張になって良い演技になることも多いです」。
乾選手「私は『考えても明日も練習だし寝よう』と思うタイプ。本番前のメイクが、試合モードへの切り替えになっています。アイラインを引く手が震えたりするけど、『これから始まる』と思うと、良い緊張感になりますね」。
そんなお二人の心のうるおいとは?

乾選手「家族5人全員揃ってご飯を食べる時間です。合宿に出ていたり、練習から戻ったら23時を過ぎていたりと、3か月に1回くらいですが、お母さんがつくった肉じゃがを家族で囲むとほっとしますね」。
三井選手「私は入浴剤を入れたお風呂で好きなアーティストの音楽を聴きながらストレッチするのが好きです。長時間プールに入ってるので、お風呂上がりにはボディークリームを塗りながらマッサージして、できるだけ早く寝ます。海外では湯船がなかったりするので、日本にいる間だけでも毎日湯船に浸かろうと思っています」。
今後の意気込みを聞かせてください。

三井選手「初めての日本代表選手の時は大学1年生で、先輩についていくのが精一杯だったので、今度は自分が引っ張っていきたいと思っています」。
乾選手「キャプテンになったことで心構えも全然違います。自分たちの力を出し切って臨みたいと思っているので、応援よろしくお願いします!」
Photo:Kayo Takashima
