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涼しいだけじゃない!優雅に夏を過ごす扇子美人になる方法

2016.07.12

暑い夏に持ち歩きたい「扇子」。暑さをしのぐだけでなく、使う人を優雅に見せ、女性らしさを引き立ててくれます。今回は、創業天保三年(1832年)創業の京扇子の老舗「京扇堂」を訪ね、扇子の魅力やさらに美しく見せるための使い方を教えていただきました。

日本の暮らしを彩る!奥深い扇子の世界

みなさんが「扇子」と聞いてまず思い浮かべるのは、おそらく夏に涼をとるための「夏扇(なつせん)」ではないでしょうか。

京扇子「煤骨六寸五分 ピンクぼかし金銀砂子」(京扇堂)
京扇子「煤骨六寸五分 ピンクぼかし金銀砂子」(1万1000円税別)

でも、扇子の種類は夏扇だけではありません。日本生まれの扇子の世界は思いのほか奥深く、京扇堂東京店の齋木智代子さんいわく、「1つひとつ丁寧に説明したら、それぞれ1~2時間かかる」というほど専門的な扇子がたくさんあります。

たとえば、日本の伝統芸能には小道具として扇子がよく登場します。日本舞踊には「舞扇」、能には「仕舞扇」が使われますし、落語家は「高座扇」を箸や刀に見立てて流暢な語り口で会場を沸かせます。茶道をたしなむ人には茶席に携帯する「茶席扇」もおなじみですね。

僧侶が儀式に使う「中啓(ちゅうけい)」や婚礼や不祝儀に使う「式服扇」など、重要な儀式のための扇子もあります。ほかにも、飾って楽しむ華やかな「飾り扇」、扇の原型といわれる檜の薄板を絹糸で綴じ合わせた「檜扇」など、本当にいろいろなところで使われているんです。

値段以上の価値がでる! ギフトに扇子がおすすめの理由

扇子はビジネスシーンのギフトの定番でもあります。

「歌舞伎や日本舞踊など芸事の世界では、襲名披露などのお祝い事で扇子を配るのが常。企業でも何周年記念などおめでたい機会に作るところは多いです。また、出張等で海外へ行かれるときのお土産としても、よくお使いいただいています」(齋木さん)

扇子は外国人からも人気の高いアイテムですが、扇を贈ることには、単に"日本らしい"ということ以上の意味があるそう。

「扇子はその形から末広がりの"末広(すえひろ)"とも呼ばれる縁起物。日本では昔から儀式やお祝い事のときに、永遠の幸せを願って贈られてきました」(齋木さん)

さらに、扇子の絵柄にも思いを込められます。男性のビジネスパーソンに贈るなら、出世魚のアユ柄や"勝ち虫"と呼ばれるトンボ柄なども喜ばれるそうです。

「末広がりの意味と絵柄の意味の2つの気持ちをのせて差し上げますと、手軽なプレゼントの価値が一気にふくらみます。日本人の心が伝わって、そこからお仕事もスムーズに進めばいいな、と思いますね」(齋木さん)

扇子は美しい自分を表現する小道具

素敵な扇子は持っているだけで粋な感じがしますが、より美しく見える所作とはどのようなものなのでしょうか。

「絹張透かし模様」(京扇堂)
紙と絹の布でできている「絹張透かし模様」(6200円税別)

「顔を隠さない胸のあたりで、ゆっくり仰ぐと美しく見えます。開くときや閉じる動作も、ゆっくり丁寧にすることを心がけるとよいと思います。また、いい扇子を持っていると自然に所作もきれいになります。人前で、美しい自分を表現していただく小道具としてもよろしいかなと思います」(齋木さん)

バタバタせわしなく仰ぐ姿は優雅さとは程遠いもの。扇子を使うときは、周りの方の視線も意識したいですね。

扇子の選び方・日々のお手入れ

身近な「夏扇」ひとつとっても、絵柄はもちろん、素材や骨の数もさまざま。なかには竹のかわりに白檀を使った「白檀扇」のように、涼しい風とともに香りを楽しめる扇子もあります。白檀の香りには心を穏やかにする効果があるといわれ、疲れも癒してくれそうです。

自分用に買うときは、予算やデザインの好みで選べばOK。オフィスにはシックな"花柄"、お祭りの浴衣姿には"花火柄"など、シーンに合わせて扇子を持ち替えるのも粋な楽しみ方です。価格帯は1800円~2万円以上のものまで幅広く、選択肢は豊富。扇子のサイズは男女でことなり、紳士用は七寸五分(約22.3cm)、女性用は六寸五分(19.5cm)が標準です。

「六寸五分 花火」(京扇堂)
黒字に花火が印象的な「六寸五分 花火」(2300円税別)

日々のお手入れは、汗や汚れがついたら、やわらかい布でふきとり、湿気の少ないところで保管を。持ち歩くときは扇子袋に入れたほうが長持ちします。ときどき"セメ"(買ったときについている帯)で固定しておくと、ピシッと閉じた形に戻るそう。"要"(留め部分)がとれたときは、お店で直してもらえます。

うちわは中国から、扇子は日本から

最後に扇子の由来の話をすこし。古代中国でも「団扇」と呼ばれるいわゆる"うちわ"が使われていましたが、折り畳みができる扇子は日本で生まれて中国に伝わりました。平安時代に京都で創案され、最初は宮中の殿上人や女官の必携の持ち物であったものが、次第に僧侶や武家へと広まっていったようです。いまでも国産の扇子のほとんどがメイドイン京都。京都で作られる扇子は"京扇子"と呼ばれ、雅やかな雰囲気が漂います。

使う人はもちろん、見る人にも涼を届けてくれる日本の扇子。上手に使いこなせば、日本の蒸し暑い夏も例年より過ごしやすく感じられそうですね。

取材協力:京扇堂
Text:Emiko Furuya