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7月5日は「江戸切子の日」!発祥の地・日本橋で、江戸切子づくりを体験しよう

2017.06.27
7月5日は「江戸切子の日」。江戸切子は、日本を代表する伝統工芸品のひとつです。名前はよく聞くけれど、実は使ったことがない人も意外にいるのではないでしょうか。東京・日本橋に昨年オープンした「江戸切子の店 華硝 日本橋店」で江戸切子づくりを体験してきました。

日本が誇る美しいガラスの芸術「江戸切子」

江戸切子のぐい呑み。見た目も涼しげで夏にもぴったり

江戸切子は、色ガラスを重ねた「色被せガラス」というガラスに、さまざまなカットを施した日本の伝統工芸です。江戸末期の1834年(天保5年)に、日本橋で、加賀屋久兵衛という人が金剛砂(ざくろ石の粉末)を使って、ガラスの表面に彫刻で模様を施したのがはじまりといわれています。

「カットグラスの工芸品は世界各地にありますが、江戸切子の特徴は、菊や籠目(竹かごなどの網目)など、江戸文化を表現した紋様が施されていること、そしてそのカットがとても緻密であることです。現代ではグラインダーというダイヤモンド製の刃でカットしますが、江戸時代は硬い石で削っていたので、とても時間がかかっていました」(華硝スタッフ飯吉縁さん)

お店で最も人気があるアイテムはぐい呑みだそうですが、店内にはほかにもワイングラスや花器など、さまざまな種類の江戸切子が美しく並んでいました。どれも芸術的で見入ってしまいます。

 

 

昼間は光がつくる影も美しい江戸切子

江戸切子は海外の人にも好評で、出張の際に手土産として持っていく人も多いとのこと。選ぶときには色にこだわるとよく、たとえば相手の国旗の色などをチョイスすると非常に喜ばれるそうです。また、アジアの方には赤、ヨーロッパの方には青が好まれる傾向があるのだとか。華硝の江戸切子は、サミットの記念品や国賓の贈呈品にも選ばれています。

日本の伝統美である江戸切子は、商品パッケージや商業施設デザインのモチーフに使われることも少なくありません。実は、「米肌 活潤リフトエッセンス」のパッケージも江戸切子をモチーフにしています。

 

 

縁起のよい意味も!江戸切子の紋様あれこれ

華硝であつかっている江戸切子のおもな紋様は9種類。江戸時代に考案された紋様のほかに、華硝が独自に考案したものもあります。また、紋様にはそれぞれ縁起のよい意味も込められています。代表的なものを3つご紹介しましょう。

●麻の葉
女性に一番人気の紋様、麻の葉

麻の葉を均等に正六角形に並べた伝統的な紋様は、奥まで透けて見えるので、まるで万華鏡のようでとても美しく、とくに女性に好まれる紋様です。麻の葉はまっすぐ丈夫に育つことから「今後もずっと健康でいられるように」というメッセージが込められています。

 

 

●玉市松
丸いすりガラスがモダンな雰囲気の玉市松

伝統的な市松模様に丸い玉を加えた華硝オリジナルデザインです。市松模様は2020年の東京五輪のエンブレムにも使われていますね。上下左右に広がっていくので、子孫繁栄や事業拡大など縁起のよい紋様です。

 

 

●米つなぎ
2008年の洞爺湖サミットの贈呈品だった米つなぎワイングラス

日本では、五穀豊穣への祈りとして、古くから稲は「繁栄」の象徴でもありました。シンプルながら華やかさを感じる米粒のデザインは華硝独自の紋様で、なんと世界でひとりしか施すことができないそう。一見、単純に見える紋様ほど、カットの難易度は高いといいます。

 

 

世界にひとつ!マイ江戸切子づくりに挑戦

華硝では、江戸切子づくりの体験もできます。所要時間は1時間程度(要予約)です。

模様の下書き。ガラスは紅色・瑠璃色・葡萄色(江戸紫)の3色から選べる

カットの目安となる基本の線をひく作業を「割出し」というのですが、体験で使うガラスは、すでに割出しが済んでいるものなので、模様の下書きからスタートします。サンプルを参考にしつつ、どんなデザインにしようか考えるのも楽しいひとときです。

体験ではカットしたい模様をペンで書いたら、それをなぞるように削っていきます。しかし実際の職人さんは、デザインの下書きはせず、長年の勘だけでカットしていくというから驚きです。

 

 

カット。力を入れると太くはっきりカットでき、力を弱めると薄くなる

下書きを終えたら、いよいよグラインダーでカットしていきます。ぐい呑みの口元を上に向け、親指と人差し指で支えて上下に動かすのですが、やってみると、均等に力を入れるのが思っていたより難しくてびっくり。作業は楽しく、集中しているとあっという間。できあがりを手にすると、満足感がこみ上げてきます。

 

 

カットし終えたら、最後はペンの線を消せば完成

実際に体験してみると、カットがいかに難しいかわかり、改めて職人さんの技量に驚きました。また、これまでどこか特別なものに感じていた江戸切子が、ぐっと身近にもなりました。

 

 

日常的に使いたい!江戸切子の楽しみ方

上から中をのぞきこむと、またひと味違う趣

「江戸切子はぜひ日常的に使ってほしいですね。これからの季節は大きめのグラスに氷を入れて、冷たい飲み物を入れるのもおすすめです。ぐい呑みには日本酒だけでなく冷たい緑茶を入れてもよいですし、そば猪口を小鉢として料理を盛ったり、デザートを入れたりしても。いろいろな使い方ができますよ」(飯吉さん)

江戸切子は、温度は60℃くらいまでなら耐えられるので、熱湯はNGですがぬる燗ならOK。また、洗うときは、食洗器は避け、器同士をぶつけないように注意しながら、スポンジでやさしく洗います。

ちなみに華硝の江戸切子は、カットのあと手磨きで仕上げているため、タワシでゴシゴシ洗えます。体験では省きましたが、江戸切子の制作では、カットのあとに磨きの工程があります。磨き方は、薬品で仕上げる「酸磨き」が一般的ですが、華硝の江戸切子はひとつひとつ「手磨き」で仕上げているため、手触りもよく、手にしっくりなじむそうです。

「江戸切子を選ぶときは、横からデザインを見ていただくことが多いのですが、実際に使うときは中をのぞきこむので、上からの見え方にもこだわっています。ぜひ、飲むときに見える景色も楽しんでみてください」(飯吉さん)

器が変わると、飲み物や食べ物もよりいっそうおいしく感じられる気がします。美しいものを日常的に使うと、気持ちも豊かになれそうですね。日本伝統の江戸切子をもっと気軽に楽しんでみませんか。

 

 

<取材協力>江戸切子の店 華硝

東京都中央区日本橋本町3丁目6-5 03-6661-2781

 

http://www.edokiriko.co.jp/

 

 

Text:Emiko Furuya
Photo:Mina Imai