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外国人にも人気!日本の美の象徴、一度は登ってみたい富士山の魅力

2017.08.01

国民の祝日である8月11日は「山の日」。一度は登ってみたい富士山は「日本の美」の代表格であり、日本人だけでなく外国人にも人気です。山梨県立富士山世界遺産センターの方にお話を伺い、その魅力を探りました。

 

 

富士山の名前の由来は、かぐや姫のストーリーから!?

日本人の心のふるさとでもある、霊峰富士。荘厳さを湛えた美しい独立峰の姿に、神々しさを感じる人も多いのではないでしょうか。富士山とその周辺には、パワースポットと呼ばれる場所がたくさんあるのもうなずけます。

富士山の名前の由来は諸説ありますが、その1つが、有名な『竹取物語』の最後のシーンだそうです。

「かぐや姫が月に帰るとき、帝に不老不死の薬と手紙を残しました。ところが、帝はその薬と手紙を天に一番近いといわれる山の頂で燃やすように命じました。それで多くの士(つわもの)が登ったことから"富士の山(=士に富む山)"や不死の薬を燃やした"不死の山"などと呼ばれるようになったといわれます」

富士山には昔から多くの人が登ってきましたが、実は聖徳太子もその1人。平安時代の『聖徳太子伝暦』には名馬に乗った聖徳太子が、富士山の頂上を飛び越える様子が記されています。

初の女性登山者は男装だった!富士山信仰とは

画像提供:山梨県立富士山世界遺産センター

古くから多くの人々の信仰の対象となっていた富士山。活火山であるため、過去に何度も噴火を繰り返してきたことから、人々は怖れ、敬ってきたと考えられます。

古い時代の噴火記録には8世紀の『続日本記』や9世紀の『日本三大実録』などがあります。このころの富士山信仰は、山麓から山頂を仰ぎ見て崇拝する「遥拝(ようはい)」というスタイル。火の神である浅間大神(あさまのおおかみ)に祈りをささげて噴火を鎮めようと、山麓にはいくつもの浅間神社が創建されました。

平安時代後期になると、修験者たちが「登拝(とはい)」をスタート。富士山を山岳修行の場と考え、山頂をめざしました。14~16世紀の室町時代になると、「登拝」は庶民のあいだにも広まっていきます。

17世紀には、宗教家 長谷川角行(はせがわ かくぎょう)があらたな富士山信仰を「富士講」としてまとめました。「富士講」は江戸時代には関東を中心にブームとなり、多くの人が山腹や山麓の霊場をめぐる「巡拝(じゅんぱい)」をおこないました。ただ、このころの富士山は女人禁制。そのため、1832年に女性で初めて登頂に成功した高山たつは、なんとチョンマゲをつけて男装をしていたそう。なお、女人禁制は明治維新後に廃止に。現代は交通網も整い、5合目まで自動車で行くことができます。

 

 

モネやゴッホにも影響を与えた富士山

葛飾北斎『冨嶽三十六景 凱風快晴』

2013年に、富士山はユネスコ世界文化遺産世界遺産に登録されました。文化遺産として認められた価値は大きく2つ。1つはすでに説明したように「信仰の対象」であったこと。そしてもう1つは「芸術の源泉」でもあったことです。

富士山は、その美しさや神秘性から多くの芸術家を惹きつけました。富士山を描いた絵は数えきれないほどあり、描かれ方も千差万別。白い雪をかぶった富士山や朝日に照らされた紅色の富士山など、さまざまな姿に見惚れます。

富士山を描いた画家としてとくに有名なのは『冨嶽三十六景』で知られる葛飾北斎、そして『東海道五拾三次』や『名所江戸百景』で名をはせた歌川広重でしょう。

北斎の『冨嶽三十六景』はヨーロッパでも知られ、モネやゴッホなど印象派にも影響を与えました。また、版画家のアンリ・リヴィエールは、『冨嶽三十六景』の連作スタイルに刺激を受け、版画連作『エッフェル塔三十六景』を残しています。

絵画のみならず、文学のなかでも富士山はおなじみ。前述の『竹取物語』にはじまり、古くは『万葉集』や『源氏物語』、近代では夏目漱石や太宰治の作品にも登場しています。

 

 

平日の登山者の約3人に1人が外国人の登山道も

2016年は夏の登山シーズン中には25万人近くが登った富士山。日本人だけでなく、外国人にも人気の山です。

山梨県県民生活部世界遺産富士山課の調査によると、2016年に山梨県の吉田口から登った外国人登山者の割合は、土日・休日は18.1%、平日は29.2%だったそう(※調査は計8日間)。平日は約3人に1人が外国人というのは、ちょっと驚く数字です。国籍としては、欧米系が47.3%でもっとも多く、東アジア31.8%、東南アジア12.9%がそれに続いたそうです。

外国人をも、ここまで惹きつける富士山の魅力はどこにあるのでしょうか。世界遺産センターを訪れる外国人旅行者の話をまとめると、以下のようなことが考えられるそうです。

「まずは世界遺産登録された山に一度は登りたいという一般的な興味と好奇心を、とても多くの方が寄せているということ。また、海外では『FUJIYAMA』『GEISHA』のようなポップカルチャーとしての認知度も高く、日本の象徴として知られていること。さらに、『頂で見るご来光の神秘性』『世界一美しい日の出』など、富士登山経験者の口コミやSNSへの投稿も登山客増加の後押しとなっているようです」(山梨県立富士山世界遺産センター)

富士山はすべての山小屋に無料Wi-Fiが用意され、リアルタイムのSNSの投稿もできるようになっています。

今年も多くの日本人、そして外国人が富士山に登っています。山麓から仰ぎ見る富士山も美しいですが、登って間近で見る山肌にもまた違う趣が感じられるでしょう。雪をかぶっていない夏の富士山は、眺めるだけでも新鮮です。今年の「山の日」は信仰と芸術の息づく美しい山、富士山へでかけてみませんか。

 

 

<取材協力>山梨県立富士山世界遺産センター

 

http://www.fujisan-whc.jp/

 

 

Text:Emiko Furuya