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多忙な日々をリセット、世界で注目されている「禅」を体験

2017.08.18

日本に伝わって以来、日本の生活や文化に多大な影響を与えたという禅。フランス語では「静かにする、落ち着く」といった意味合いで使われるといいます。修行のひとつである坐禅を通して、自分を見つめ直す時間を持ってみませんか。米肌アンバサダーのミホさんが体験した様子をお伝えします。

 

 

心のクセをリセットして、本来の自分を見つめ直す

禅は、紀元前5世紀のお釈迦様から始まりその後6世紀の達磨大師による中国への伝来を経て、13世紀に日本へもたらされました。

坐法を教えてくれた浅草金龍寺の副住職・並木泰淳さん。浅草金龍寺では檀家さん向けにしか坐禅会を行っていませんが、今回は特別に体験させていただきました。

「普段の生活の中で私たちの心は、外部から入る情報に反応して目の前のこと以外の色々なことに考えが飛んでしまう"連想ゲーム"をしてしまっています。お釈迦様はその"心のクセ"は良くないこととして、目の前のことに集中することが苦しみから抜ける方法であると教えています。 心を無にして本来の自分のあり方を取り戻そうとする禅の修行のひとつに坐禅があります。他にも托鉢、作務といった動的な修行も禅宗にはあります」(並木さん)。

 

 

身体と呼吸を正して心を調える坐法

調身・調息・調心の三調に集中する。

 

 

両足を組む結跏趺坐(けっかふざ)。片方のみの半跏でも可。

まずは丁寧な坐法の説明から始まりました。二つ折りにした座布団に軽く座し、足を組みます。左腿の上に右足を乗せ、さらに可能な場合は右腿の上に左足を乗せます。片方でももちろん大丈夫。両膝とお尻の3点でしっかり身体を支えます。

 

 

お互いに合掌したまま一礼し、警策を受ける。

「臨済宗では壁を背にして坐ります。これから姿勢、呼吸、心を調えていきます。頭をまっすぐ保ちながら顎を軽く引き、腰から背筋をまっすぐ伸ばし、おへその10cm下あたりを前に突き出すように坐ってください。両手のひらは上に向け、右手を下、左手を上にして重ね、両親指を軽く触れ合わせます。

目は半眼といい、見開かない程度に開けて1m先あたりに視線を落とします。3秒吸って7秒吐く、ゆっくりとした呼吸を繰り返し行います。慣れてきたら呼吸を維持しながら1から10まで数えていきます。これは"数息観(すうそくかん)"というもので、息を数えることだけに集中することで、余計な想念を払い心を調える方法です」(並木さん)。

 

 

2打ずつ両肩を打つ。

「警策(けいさく)と呼ばれる木の棒は"励まし"の意味があり、打つ前後には感謝の心を伝える合掌をするのが習わしです。正面から左右の肩をそれぞれ2回打ちますが、宗派や季節によって異なることがあります。禅センターの坐禅会では希望制を取っていて、眠くなったり落ち着かなくなったりしたら合掌をして待っていれば和尚さんから警策が与えられるようになっています。ドラマなどで見るように突然打たれるようなことはありませんよ」(並木さん)。

 

 

静寂の中で「ただそこにあること」に集中する時間

タクという拍子木をひとつ打ち、インキンという鐘を4つ鳴らすのが始まりの合図となる。

拍子木と鐘の合図で坐禅体験がスタート。お堂の中は静寂に満ち、街の物音がどんどん遠くに感じられました。10分間の坐禅を終えて、米肌アンバサダーのミホさんに感想を聞いてみると、

「短い時間でしたが、心が穏やかになった感じ。途中から暑さが全く気にならなくなったので、自分でも集中できたような気がします」(ミホさん)。

「女性は足を組むと背筋がすっと伸びる方が多いようです。現代ではヨガなどでポーズや呼吸法に親しんでいる方も多く、坐禅も無理なく取り組めると思います。

禅の心に触れたい人、忙しい日々の中で心の平静を求めている人、様々なきっかけで坐禅会に参加されます。座っているといろんなことが頭に浮かんできて連想ゲームが始まる。それが進むと身勝手な価値判断が多くなり、物事のありのままを見たり感じたりすることができなくなってしまいます。ただ坐ること、息を数えることに一心に打ち込む。坐禅という実践を通して、自分を見つめ直すきっかけを得ることができるのではないでしょうか」(並木さん)。

 

 

私たちの身近な生活習慣に生きる禅の教え

禅というと難解な禅問答や坐禅修行をイメージする方も多いですが、私たちの身近な生活にも禅の教えや修行に由来するものが数多くあるそうです。

「食事を作ることや、掃除などの作業も禅の修行のひとつです。万物に感謝し、ものを無駄にせず大切にいただくことで、精進の心を養います。掃除などの勤労作業に一心に取り組むことも修行となります。日常で心の迷いや疲れをリセットするのにもこのような作業は有効ですよ」(並木さん)

禅語に由来する日本語が多いこともご存知でしょうか。例えば、挨拶という言葉は禅問答の「一挨一拶(いちあいいっさつ)」が語源とされています。人と人との間に切り込む行動であり、潤滑油となる挨拶。禅の考え方は私たち日本人の生活に馴染み、日本人らしさの基礎の部分にも大きく影響を与えています。

ありのままの心でシンプルに考え、行動する。美しく心豊かに暮らすためのヒントが禅の教えから見つけられるのではないでしょうか。

<取材協力>東京禅センター

 

http://www.myoshin-zen-c.jp/index.htm

 

 

Text:Hiroko Nakayama
Photo:Mina Imai