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江戸時代の女性たちが愛した手織り「佐賀錦」の小物がかわいい!

2018.03.30

佐賀錦は特別な糸を使っているため、光の方向によって輝きが増し、表情が変わります。美しさが宿る秘伝の技法や、イヤリング、ヘアアクセサリー、バッグなど、和服にも洋服にも合うレトロ×モダンな小物たちをご紹介します。

 

 

絢爛豪華で優美!大隈重信も魅了した「佐賀錦」

「佐賀錦の歴史は諸説あるものの、江戸時代末期に肥前国(現在の佐賀県~長崎県)で創案作成され、城内の女性のたしなみとして盛んに行われたといわれています。明治初期に入ると、佐賀錦は一時中断されますが、大隈重信がそれを惜しみ、旧華族の間で再興されて評判になったそうです。そして1910年にはロンドンで開催された日英大博覧会に出品されるなど、日本の美術工芸品として海外から高い評価を得ています」。

こう教えてくれたのは、佐賀錦作家の木村裕子さん。11年前に東京国立博物館で佐賀錦に出会い、その美しさに魅了された木村さんは、会社員として働くかたわら、佐賀錦の技術を習得した努力の人。師を探すため、あちこちに問い合わせをしたり、必要な材料を入手するため現地へ出向いて交渉したり、仕事が終わってから織る練習をコツコツしたり、並々ならぬ想いで佐賀錦と向き合っています。

木村さんが、そこまで佐賀錦に魅かれる理由は、「光の加減でさまざまな表情が生まれ紋様が現れてくるところ」だと言います。
佐賀錦は、金・銀・漆を貼った特製の和紙を細かく裁断したものを経紙(たてがみ)とし、絹の撚り糸を染色したものを緯糸(よこいと)として、丹念に織りあげたもの。織物で経糸に和紙を使用するのは、佐賀錦だけだそうです。

「私の工房では、経紙に本金・銀・漆など独自の箔を使っています。また、緯糸の絹糸には、草木染めをした国産繭糸を主に使用しています。この箔紙と糸が独特の趣を織りなすことによって、繊細で華麗な風合いを生み出すことができるのです」(木村さん)。
こちらは木村さんの作品のひとつ。紺色に見えますよね? でも、使用している糸は黒とグリーンだそう。また、上と下では模様が異なるように見えますが、実は同じ。光の加減によってデザインにこれだけ表情が生まれるなんて驚きです。

 

江戸時代には門外不出の技術、織れるのは1日にわずか数センチだけ!

 

「織物なので、てっきりバタンバタンと織り機で織るのかと思っていたら、そうではありませんでした。実際は、竹ヘラで目をすくって、少しずつ織りあげていきます。静寂の世界で、深い集中力が求められます」(木村さん)。

1つの模様を一列織るだけで、2~3時間はかかるそう。当然、たった一列では小物を作るための面積が足りないため、何十列も織りあげる必要があります。また、織る作業以外にも、作品に仕上げるためにはさまざまな工程があるそう。

「織り始める前に、まずはどんな模様にするかを考えます。そのためには、何を作るのか、どんな色・細さの糸を使うのかを決めて、仕上がりのイメージを固めます。そして、下絵といわれる意匠図を作成します。それを元に織り進めていくのですが、佐賀錦の場合、失敗するとやり直しがききません。経紙が特殊なもので折り目がつきやすいため、解きほぐして織り直すことができないんです」(木村さん)。

一目も失敗できないなんて、緊張の連続......! そして、ようやく織りあげたら、今度は小物に加工してくれる職人さんに、仕上がりのイメージを伝えるそう。目立たせたい柄や、形のイメージを共有するため、職人さんの目の前でデザインを描くことが多いそうです。

使用する糸の一例。左側の七色に輝いているのが経紙。一寸(約3センチ)を40で割った細さの「40割」です。右側の2つは緯糸で、黒は漆、シルバーは銀を用いた絹糸です。経紙の細さは30~60割まであり、柄や織りあげるものによって使い分けるそう。

 

織り台に経紙をセットしたら、織るための準備をします。写真は、竹ヘラで経紙を一目おきにすくっているところ。一見、糸を持ち上げているだけのようですが、よく見ると一目おきなのがわかります。次に、先程とは逆の経紙を一目おきにすくいます。2本のヘラを交差させることで糸さばきをし、経紙のたるみやゆがみを整えます。

 

自作の意匠図を見ながら織り進めていきます。竹ヘラで必要な目をすくい、「あばり」と呼ばれる竹に緯糸を巻きつけ、織りこんでいきます。「肩に力が入ると、視野が狭くなるので織り幅も縮まってしまいます。細心の注意を払い、慎重に織り進めることが大切です」(木村さん)。

 

すくった目に、緯糸を通したところ。目をすくい、緯糸を通す作業をひたすら繰り返します。これは、直線を折り曲げてさまざまな紋様を作る「綾織」の一種。綾織を多様に変化させることで、数百パターンもの柄を表現できます。

 

レトロ×モダンの小物がかわいい!

「アクセサリーのパーツがさびないように18Kを使ったり、真鍮も錆びないように加工してもらったりしています」と言う木村さん。
かわいいだけではなく、実用品としての品質にもこだわって生み出された小物たちをご紹介します。

イヤリングとピアス。イヤリングは、長時間つけていても痛くなりにくいパーツを使っているそう。右上のグリーンのイヤリングから時計回りに、イヤリング(K18製)106,000円(工房価格で税抜・以下同)、イヤリング(真鍮製・クリア加工済み)9,000円、ピアス(K18製)106,000円、イヤリング(K18製)106,000円。

 

バングル、ブローチ、ブレスレット。個性的なのに日常使いもできそうな品の良さ。どれも手作りで一点ものなので、人とかぶらないのがうれしい! 右上のブルーのバングルから時計回りに、バングル(真鍮製・クリア加工済み)15,000円、バングル(真鍮製・クリア加工済み)15,000円、バッグ型ブローチ(真鍮製・クリア加工済み)6,000円、ブレスレット(K18製)210,000円、ブレスレット(真鍮製・クリア加工済み)19,000円。

 

紋様の出方にこだわって作っているヘアアクセサリー。かんざしは洋服にも合うように、さす部分を短めにしているそう。上から、かんざし(真鍮製・クリア加工済み)13,000円、かんざし(真鍮製・クリア加工済み)13,000円、バレッタ(真鍮製・クリア加工済み)9,000円、バレッタ(真鍮製・クリア加工済み)9,000円。

 

和・洋どちらにも合うようにデザインされたバッグや名刺入れ。携えるだけで淑女になれそう。右上から時計回りに、クラッチバッグ130,000円、名刺入れ16,000円、チェーンバッグ110,000円。

 

<取材協力>佐賀錦作家・木村裕子さん/saganisiki.cruz(サガニシキ クルス)

 

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Photo:Kayo Takashima