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売り言葉に買い言葉で後悔しないために、知っておきたい「怒り」のコントロール術

2019.05.07

思い通りにならないことがあるたびに怒りを露わにしていたら、人間関係はもちろん、キャリアを台無しにすることも...。とはいえ「怒る」という感情は、ただ抑えるだけではストレスがたまっていく一方。怒りをコントロールする「アンガーマネージメント」を教えている早稲田大学の本田恵子教授に、「怒り」と言う厄介な感情と上手に付き合うコツを伺いました。

 

 

"~すべき"と言う思考が強い人は怒りっぽい!?

アンガー(怒り)は、いろいろな感情が入り混じった混沌とした状態のこと。

「欲求が叶わないとき、"悔しい"、"悲しい"といったネガティブな感情が生まれますよね。この一次感情が解消されずに積み重なると、二次感情として『アンガー(怒り)』になるのです。一次感情の元となっている欲求を理解し、向き合わなければ、物や関係ない人に八つ当たりしたり、どこにも出さずに閉じ込めたり、問題を目の前から一時的に排除するだけで終わってしまい、怒りを上手にコントロールすることはできません」(本田先生)。

アンガーマネージメントは、「怒る」という感情そのものをなくす訓練ではなく、怒りをコントロールすることが目的。

「"~すべき"という思考が強い人は、相手の行動にも期待しがち。だから、期待通りの結果が得られないと落胆し(一次感情)、『怒り』(二次感情)へと変わりやすいのです。まずは、不要な"~すべき"という思考は捨てましょう。例えば、何度注意しても同じことを繰り返す相手に対して"~すべき"という思考が強い人は、『何度言えばわかってくれるの!?』とイライラしがちですが、『指示がうまく伝わっていないのかも』というように、捉え方を変えることができれば許容範囲が広がり、イライラは軽減するはずです」(本田先生)。

変えられるのは、相手ではなく自分の思考だけ

とはいえ、一度行動パターンとして定着してしまうと、変容するには強い動機づけが必要です。

「わざと負けるように、後出しじゃんけんをしてみてください。私たちは、相手がグーを出したらパーを出す勝ち方がインプットされているため、後出しでOKと言われても、すぐにチョキを出せない人が多いのですが、わざと負ける後出しじゃんけんを何度も繰り返すと、行動パターンが変わってきます。『怒る』という感情も同じ。捉え方を変える訓練をすればいいのです。相手の思考を変えることはできません。変えられるのは自分だけ。でも自分が変われば、相手の反応も変わってきます」(本田先生)。

 

 

反論する前に、まずは相手の気持ちを受け止める

怒っている人への対応で大事なのは、相手の気持ちを受け止めることだと本田先生は言います。

「無視したり反撃するのはNG。相手の気持ちを受け止めるというアクションが抜けてしまうから、ついこちらも感情的になってしまうのです。特に、興奮している子どもに対しては、大声を出したり、『だからあなたはダメなのよ!』と過去の失敗を引き合いに出してしまいがち。過去のマイナス面を指摘するうちに、自分の中でそのときの感情がよみがえり、怒りがどんどん増してしまうこともあるので気をつけましょう」(本田先生)。

相手を屈服させても後味が悪いだけで、スッキリ感は得られません。相手の気持ちを受け止めるために、まずはお互い落ち着くこと。

「座るだけで落ち着くので、怒っている人を相手にするときは、座ってみてください。前のめりで挑発してくる相手は、アドレナリンが出ています。頭を後ろにそらすだけで興奮は軽減されると言われているので、椅子の背にもたれるように座らせると、より効果的です」(本田先生)。

 

 

 

 

相手の気持ちを受け止めてから、自分の気持ちを伝える

相手を座らせて興奮が軽減してきたら、自分の欲求を言語化します。それに対し相手が再び主張してきた場合は、もう一度相手の気持ちを受け止めたうえで、適切な方法を伝えるのがベスト。

【具体例1】攻撃的な言動の受け止め方
ステップ1:無視したり反論せず、頷くなどして、まずはどのような感情も受け止める。
ステップ2:「◯◯がしたいんですよね?」と相手の欲求を言葉にする。
ステップ3:「◯◯をしたいなら、△△しましょう」と、適切だと思われる方法を伝え、相手の出方を待つ。
ステップ4:相手が話しに乗ってきたら、「ありがとう」と言って話し合う。

【具体例2】攻撃的な言動が受け入れられない場合
ステップ1:無視したり反論せず、頷くなどして、まずはどのような感情も受け止める。
ステップ2:「私は今、□□をしています」と状況を説明したうえで、自分の気持ちとそうなった背景を伝える。
ステップ3:相手が批判や拒絶をしてきたら、もう一度ステップ1、2を行う。
ステップ4:相手が落ち着いたら、「ありがとう」と言う。2回繰り返しても相手が落ち着かない場合は
      いったんその場を離れ、しばらくしてからもう一度話し合う。

「相手がキレやすい子どもの場合、そんな対応で効果があるの?とよく聞かれます。私は、少年院や刑務所でもアンガーマネージメントを行っていますが、入所者の問題行動が減るなど効果が確認されています。アンガーマネージメントの目的や対処法は、子どもも大人も同じです。『怒り』を上手にコントロールできれば、コミュニケーション能力が上がり、表情も柔らかくなるはず。ぜひ実践してみてください」(本田先生)。

 

 

<取材協力>本田恵子教授

早稲田大学教育学部教授。公認心理師、臨床心理士、学校心理士、特別支援教育士SV、アンガーマネージメント研究会代表。著書に、『先生のためのアンガーマネージメント 対応が難しい児童・生徒に巻き込まれないために』(ほんの森出版)がある。

 

 

 

Text:Junko Yamazaki


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